ネーミングライツ制度は全国の自治体に広がっていますが、実際に情報を探してみると「見つけにくい」と感じることがあります。企業がネーミングライツを検討しようとした場合、多くは自治体のホームページを検索することになります。しかし、ネーミングライツの情報がすぐに見つかる自治体は必ずしも多くありません。この背景には、ネーミングライツ制度の情報構造が関係しています。
情報が分散している自治体サイト
自治体のホームページを見ると、ネーミングライツの情報はさまざまな場所に掲載されています。例えば、広告事業のページ・施設の紹介ページ・財政や官民連携のページ・個別施設の管理部署のページといったように、自治体ごとに掲載場所が異なります。さらに、スポーツ施設、文化施設、公園など、施設ごとに担当部署が異なる場合も多く、ネーミングライツの情報が部署ごとに分散しているケースも少なくありません。その結果、自治体としてネーミングライツ制度を実施していても、外部から見ると情報がまとまっていないように見える場合があります。
募集情報と実施情報の分断
もう一つの特徴は、募集情報と実施情報が必ずしも整理されていないことです。ネーミングライツの募集は公募形式で行われることが多いため、募集要項の情報は比較的分かりやすく掲載されています。一方で、契約が成立した後の情報は、プレスリリースとして掲載されるのみで、その後体系的に整理されていないケースもあります。そのため、現在どの施設がネーミングライツを実施しているのかを把握することは、必ずしも簡単ではありません。
募集方式の違い
自治体のネーミングライツ制度には、大きく分けて二つの募集方式があります。一つは、自治体が対象施設を決めてスポンサーを募集する「施設特定募集型」です。もう一つは、企業や団体から対象施設の提案を受け付ける「提案募集型」です。施設特定募集型では、自治体が募集要項を公開するため、企業側も対象施設を比較的把握しやすくなります。一方で提案募集型の場合、制度自体は公開されていても、具体的な対象施設が明示されていないケースも多くあります。そのため企業側は、自治体がどのような施設を保有しているのかを調べたうえで、ネーミングライツの提案を検討する必要があります。このように、募集方式の違いもネーミングライツ情報が見つけにくい要因の一つとなっています。
自治体ごとに異なる発信スタイル
ネーミングライツ導入時の情報発信の方法も、自治体によって差があります。例えば、「除幕式などのイベントを実施し、広報活動を行う自治体」「プレスリリースのみで発表する自治体」など、発信の方法はさまざまです。こうした違いは、ネーミングライツ制度そのものというより、自治体ごとの広報方針や運用体制による部分も大きいと考えられます。結果として、同じネーミングライツ制度であっても、外部から見える情報量には差が生まれることがあります。
情報が見えにくい理由
このように見ていくと、ネーミングライツ情報が見つけにくい理由は、制度そのものではなく情報の整理方法にあることが分かります。自治体ごとに制度の導入状況や施設の条件は異なり、それぞれのサイト構造や担当部署の違いもあります。そのため、全国のネーミングライツ情報を横断的に把握することは、企業にとっても簡単ではありません。
ネーミングライツ制度は、自治体と企業を結びつける官民連携の仕組みです。しかし制度が広がるためには、まずその取り組みがどのように実施されているのかを把握できる環境が必要になります。どの自治体がネーミングライツを実施しているのか。どのような施設が対象になっているのか。どの程度の価格帯で契約されているのか。こうした事例を整理することで、自治体にとっても制度を検討する際の参考情報となります。
NAME BRIDGEでは、全国の自治体で実施されているネーミングライツ事例を整理し、制度を理解するための情報基盤として提供しています。
NAME BRIDGE編集部