ネーミングライツというと、多くの人が思い浮かべるのはスタジアムやアリーナ、文化ホールといった大規模施設ではないでしょうか。
実際、日本でネーミングライツ制度が広がり始めた当初は、こうした大型施設が主な対象でした。施設規模が大きく利用者も多いため、企業にとっても広告価値が分かりやすいという理由があります。
しかし近年、自治体のネーミングライツ制度を見ると、対象施設の幅が少しずつ広がっています。その中でも特に注目されているのが、歩道橋などの交通インフラです。
一見すると小さなインフラに見える歩道橋ですが、実はネーミングライツとの相性が良い側面を持っています。
日常の動線にある公共インフラ
歩道橋の特徴は、日常生活の動線上にあることです。
駅前、幹線道路、商業エリアなど、人や車の往来が多い場所に設置されているケースが多く、地域の生活の中で自然に視界に入る存在です。
そのため、施設利用者だけが目にするスポーツ施設とは異なり、通行する多くの人に名称が認識されやすいという特徴があります。
企業にとっては、広告としての露出だけでなく、地域の生活空間の中で企業名が自然に認識される効果が期待できます。
導入しやすい価格帯
歩道橋ネーミングライツが広がっている理由の一つは、比較的導入しやすい価格帯にあります。
大型スポーツ施設の場合、命名権料は数百万円から数千万円に達することもあり、応募できる企業はある程度限られてきます。
一方で歩道橋の場合、命名権料は年額数十万円程度に設定されるケースが多く、地域企業にとっても参加しやすい制度となっています。
その結果、これまでネーミングライツの対象になりにくかった中小企業にとっても、地域貢献や企業PRの機会として検討しやすくなります。
制度設計のハードルが低い
歩道橋ネーミングライツが導入されやすい理由は、価格だけではありません。
大型施設の場合、指定管理者や施設運営団体、イベント主催者など、さまざまな関係者が関わっているケースが多く、名称変更にあたって調整が必要になる場合があります。
一方で歩道橋は、こうした関係者がほとんど存在しないケースが多く、制度設計や調整のハードルが比較的低いという特徴があります。
この点も、自治体にとって歩道橋ネーミングライツが導入しやすい理由の一つといえるでしょう。
地域企業との関係づくり
歩道橋ネーミングライツは、地域企業との関係づくりという点でも特徴があります。
大型施設のネーミングライツは全国企業が対象となるケースも多い一方、歩道橋などの小規模インフラでは、地域企業が主体となるケースが多く見られます。
企業名が地域のインフラの名称として使われることで、地域との結びつきを示す取り組みとして位置づけられる場合もあります。
その意味で、歩道橋ネーミングライツは単なる広告ではなく、地域との関係性を示す取り組みとして受け止められることもあります。
小さなインフラが制度を広げる
ネーミングライツ制度は、大規模施設だけに適用できるものではありません。
歩道橋のような比較的小規模なインフラを対象とすることで、ネーミングライツ制度の対象を広げることができます。
また、価格帯が比較的低いため、複数の施設でネーミングライツを導入しやすくなるという側面もあります。
こうした取り組みは、ネーミングライツ制度を特定の大型施設だけの制度ではなく、公共資産全体を活用する仕組みへと広げる可能性を持っています。
ネーミングライツの対象は広がっている
ネーミングライツはスタジアムやホールだけの制度ではありません。
歩道橋、公園、広場、デッキなど、日常生活の中にある公共空間にも適用できる制度です。
対象施設を柔軟に考えることで、自治体にとっても新たな財源確保の機会が生まれ、企業にとっても地域との関係づくりの機会が広がります。
歩道橋ネーミングライツの広がりは、ネーミングライツ制度が大型施設の枠を超え、公共インフラ全体へと広がりつつあることを示しているともいえるでしょう。
NAME BRIDGE編集部